「東京にはほんとの空がない」
かつて高村光太郎の妻・智恵子は、殺伐とした都会での生活をそう表現しました。(高村光太郎『智恵子抄』より ※福島県編参照)
現在、故郷を離れ東京で暮らす人たちにも、少なからず似たような思いはあるのではないでしょうか?今回の勝手に観光協会は、そんなあなたへ贈る旅。ぜひとも知ってもらいたい、「もうひとつの東京」編です。

というわけで、一行がやってきたのは「八丈島」。
羽田から南へ飛ぶこと40分、伊豆諸島に浮かぶ周囲約60キロの小さな島には、とても東京とは思えない景色が広がります。生い茂る緑に色鮮やかな花々、沖縄と言われても信じてしまいそうな、まさにTHE・南国(でもれっきとした東京都!)。そして人があまりいないせいか、どこかもの悲しさが漂うのもイイところ。心も体も疲れ切った都会人には、こういう場所こそオアシスです。
「これはもう仕事とは思えないね」
「今回はご褒美、ボーナストラックみたいなもんですから」
すっかりバカンス気分でゆるゆるなオヤジ二人。日焼け止めを塗りたくり、スーパーで麦わら帽子をゲットして、いざ視察に出発です。

photo1八丈島といえば、まず思い浮かぶのが「八丈島のキョン」。マンガ『がきデカ』の主人公・こまわりくんの一発ギャグとして有名ですが、実際に「キョン」を見たことがある人は、そうそういないのではないでしょうか?キョンは中国や台湾に住むシカの一種で、小ぶりなサイズと名前の由来にもなった子犬のような鳴き声が特徴。ここ八丈島では「八丈植物公園」に飼育されており、島のマスコット的存在になっています。
「へぇ、これがキョンか〜」
「ちっちゃくてカワイイねぇ」
実物との対面に思わず感動の一行。八丈の特産物・明日葉(あしたば)をあげると、ムシャムシャとおいしそうにかぶりつきます。
「あっ、オスには牙があるよ!」
「ほんとだ、あれは『痛ッ!』ってなるね」
「まあ歯が当たるのがイイっていう人もいますから」
「どうせならメスのほうがいいなぁ」
プリティーなキョンを前に、何の話をしてるんですか?
勝手に観光協会・東京都編
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photo2
続いて一行は、海岸線をひた走り島を半周。大里の玉石垣、裏見ヶ滝、登龍(のぼりゅう)峠に南原千畳岩。照りつける太陽の下、次々と絶景ポイントを回り、八丈の自然を満喫します。
「なんかもう、自分がどこにいるのかもわからなくなってきたよ」
「何もかもどうでもよくなるよね」
すっかり脳ミソまで溶けてきたご様子ですが、勝手に観光協会の旅はこのままでは終わりません。

photo3お昼ご飯を平らげたあと、一行は釣り船「海女屋(あまや)丸」に乗り込み、八丈小島へ向かうことに。
「安斎さん、『ワンピース』みたいでカッコイイじゃん」
クルージングと聞いて初めは上機嫌だったお二人ですが、いざ出港してみると顔色は一変。なにしろこの船の揺れること、揺れること!
「うわあぁ〜っ!」
「こええ〜っ!」
波を乗り越えるたびに体がフワリと浮き上がり、とても立ってなどいられません。油断してると海に投げ出されてしまいそう。船長さんによれば、この日はほとんど波がなく穏やかな海らしいのですが、それでもサブカルオヤジにはタフすぎるアドベンチャー。うずしお観潮船からライン下りまで、これまでの船乗り経験も役には立たなかったようです。
「ちょっとステップアップしすぎだよ!」
船体にしがみつき、険しい表情で揺れをこらえるMJ。心の中では般若心経を唱えていたことでしょう。

30分後、ようやく八丈小島にたどり着いた頃にはすっかりフラフラの一行。映画『バトルロワイアル』の舞台にもなった無人島で、しばらく休んでいくことに。
「しかしスゴイ所だね、ここは」
「そりゃ映画も撮るよね」
もはや日本とは思えないほどの奇観をバックに、ギタレレとオカリナをバッチリ決める二人。しかしどこか浮かない表情です。
「またあの船で帰るんでしょ・・・」
「それがわかってるだけに辛いよね」

photo4再度のアドベンチャーの末、なんとか無事に帰還した一行。最後に八丈名物・くさやの加工場「丸十水産」を見学します。くさやといえばその強烈な匂いで知られますが、八丈のくさやは比較的匂いがマイルドなんだとか。恐る恐る試食させていただくと・・・これがめちゃめちゃ美味い!しかも全然臭くないんです!「これはイイね!」とすっかりくさやの虜になった一行、真空パックのくさやを大量にゲットしちゃいました。

そしてこの日のお宿は「八丈ビューホテル」。心暖まるもてなしと島ならではの味に大満足、いい気分でリョカ録が始まります。南国の夜はなぜか人をセンチメンタルにさせるもの。上京してかれこれ30年、酸いも甘いも噛み分けたMJによる東京の歌、必聴ですよ。

リョカ録終了後はささやかな花火大会でひと盛り上がり。あとはくさやをツマミに一杯、と思ったところで悲劇が・・・!
「くさっ!!」
「なんじゃこりゃ〜っ!!」
「ちょっ、窓開けて!」
真空パックを開けた瞬間、部屋中に広がる強烈なニオイ!詳しくはいえませんが、いろいろなものを思い起こさせる、とにかくものすごいニオイです。
「全然臭くないって言ってたじゃん!」
「さっきは工場に入ってすぐ、鼻が麻痺してたんだよ!」
やっぱりくさやはくさやでした(美味しいですけど!)。忘れられないニオイの記憶とともに、ひと足早い夏の思い出を作った一行。あなたもこんな「東京」はいかがですか?